日本では、信号機の無い交差点で自分の側に優先権がない場合に一時停止の標識や路面表示があるのが普通です。
だいたい、こんな感じですですが、この一時停止には根本的な問題が有ります。
停止線で止まってから、もう一度横断歩道を超えたあたりで停止することになることです。大きな通りを通行する車両がいないことを確認するために、どうしても必要なのです。つまりルール上の義務は一時停止ですが、実質二時停止となります。車両側にとってはとても煩わしい動作です。車やオードバイは発進時に最もエネルギーを必要とするので、経済的にも、また環境にも優しくない方式です。
では、どのように見直すことができるでしょうか? まずここの横断歩道は信号機の無い横断歩道です。常に歩行者に優先権が有りますが、歩行者がいない時には徐行で通過しても良いはずです。ただし大きな通りに出る直前の一時停止は必要です。このT字路の場合、大きな通りを走る車両に優先権が有るからです。一時停止の停止線を横断歩道よりも先に書くというのも一つのアイデアですが、認識しずらくなるのは目に見えています。しかも止まれという路面表示を書くスペースがちょうど横断歩道と被ってしまいます。
私は以下のようにするのが最善策だと考えます。
ポイントは3つです。1つめは横断歩道を歩道にしてしまうこと、2つめは手前の道を横切るこの歩道の幅を特に広くしないこと、3つめは一時停止を『ゆずれ』に変更することです。
それぞれメリットがあるのですが、ここでは3番めの『ゆずれ』について考察します。まず先に述べてたようの二時停止のデメリットを解消するために、歩行者がいない場合には必ずしも停止線で止まらなくて良いことを、この『ゆずれ』は表現しています。さらに自分の道路が非優先道路であることも意味しています。日本語には『優先』の反対語は『劣後』だそうですが、あまり知られていません。『ゆずれ』は分かりやすい言い回しだと思います。もしどうしても『ゆずれ』だけでは物足りないという意見がございましたら、二行で『歩道有り、ゆずれ』ではどうでしょう。
ヨーロッパでは『GIVE WAY』という標識が多用されています。さらに感心するのは、何も書かれていない逆三角形の標識や、車道を遮るように引かれている点線だけでも、『GIVE WAY』を意味するそうです。ヨーロッパの道路標識の比較表を見ても、この何もない逆三角形の標識が他の標識と比べてどれほど重要で、しかも道路というものの安全性を担保するために必要なものであるかが判ります。
はい!!、自由研究としては禁じ手のGoogleストリートビューの引用です。
たったこれだけで、道路の優先、非優先を表現し、車両に対して安全確認の義務を課しているのには感心してしまいます。それに比べて日本の道路は道路標識がごちゃごちゃ多すぎて、あまり感心しません。結局、よくある『止まれ』の標識は止まるという手段のみを強制していて、本来の目的である『安全確認の義務はあなた側にありますよ、よく注意して下さいね。』というメッセージを伝えることができていません。
同じようなことが信号機とラウンドアバウトにも言えます。ラウンドアバウトが優先と非優先の関係で成り立っているのに対し、信号機は命令によって成り立っています。実は日本でも東日本大震災後からラウンドアバウトの導入が始まっていて、『ゆずれ』の標識もラウンドアバウトに侵入する場所で使用されています。そもそもラウンドアバウトは、一方通行のT字路8つぐるっと円状に繋げたもの(元々が十字路の場合)です。おっと、この考察は別項目でしましょう。